オールシーズンタイヤへの履き替えを検討している中で、やはり一番気になるのは「燃費が悪いのではないか」という点ではないでしょうか。

実際に検索してみると、燃費比較やデメリットに関する情報がたくさん出てきて、高速道路での走行性能やロードノイズ、さらには寿命や価格に至るまで、様々な不安要素が目につきます。

特にハイブリッド車に乗っている方は、せっかくの低燃費性能が損なわれると後悔するのではないかと心配になりますよね。自分も最初はそう思っていました。

この記事では、オールシーズンタイヤの燃費と経済性の真実について詳しくお話しします。

ソウタ

ここ数年のオールシーズンタイヤの技術の進化は本当にすごいです。

オールシーズンタイヤの燃費に関する基礎知識

多くの人が抱いている「オールシーズンタイヤ=燃費が悪い」というイメージが、現在のタイヤ技術において本当に正しいのかどうか、その基礎的な仕組みから見ていきましょう。

ここ数年の技術の進化は本当にすごく、昔の常識が通用しなくなってきています。

最新モデルでも燃費は落ちるのか

かつてのアメリカ市場向けの古いオールシーズンタイヤ(単にM+S表記のみのもの)と比べて、最新のプレミアムモデルは劇的に燃費性能が向上しています。

一昔前のオールシーズンタイヤは、雪道でのグリップを稼ぐためにゴムをとにかく柔らかくする必要がありました。

しかし、技術の進化により状況は変わりました。

昔と今の違い

  • 昔のモデル
    ゴムが柔らかすぎて変形しやすく、抵抗が大きい(燃費が悪い)
  • 最新モデル
    「シリカ」などの配合技術により、低温での柔軟性と転がり抵抗の低減を両立(燃費が良い)

もちろん、エコタイヤ(低燃費タイヤ)の最高峰グレード(AAA評価など)と比べればわずかに数値は劣る場合もありますが、新車装着されている一般的な標準サマータイヤと比較しても遜色ないレベルまで進化しています。

「オールシーズンタイヤに変えたら燃費がガタ落ちした」という話は、

  • 一昔前の設計の古い製品を選んだ
  • 格安のアジアンタイヤを選んだ

以下のようなケースが多いです。

転がり抵抗とラベリング制度

タイヤの燃費性能を、感覚ではなく客観的に判断する指標として「ラベリング制度」があります。

これはタイヤが転がる時の抵抗(転がり抵抗)をグレード分けして表示する制度です。

転がり抵抗とは?

タイヤが回転して路面に接地する際、ゴムが変形し、元に戻ろうとする過程でエネルギーが熱として失われる現象のことです。
この抵抗(ヒステリシスロス)が小さいほど、少ない燃料で車が進むため「燃費が良い」とされます。

(出典:一般社団法人日本自動車タイヤ協会『タイヤラベリング制度』

驚くべきことに、最新のオールシーズンタイヤの中には、この転がり抵抗性能で「A」評価(低燃費タイヤの基準)を獲得しているモデルも存在します。

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「雪道も走れるのに、燃費性能も夏タイヤ並みに良い」ということをメーカーが公的な試験データに基づいて証明していることになります。

燃費性能が良いタイヤの選び方

では、燃費を重視してオールシーズンタイヤを選ぶ場合、具体的にどこを見れば良いのでしょうか。

一番確実なのは、メーカーのカタログやタイヤラベルに記載されている「転がり抵抗係数」のグレードを確認することです。

日本のJATMAラベリングや、より基準が厳しいとされる欧州のEUラベルを参考にしましょう。

※スライドできます
EUラベル評価燃費性能の目安と特徴おすすめユーザー
A または B非常に優秀。
一般的な低燃費サマータイヤと同等以上。
ハイブリッド車・EVユーザー 燃費重視の方
C標準的。
大きな燃費悪化は感じにくいレベル。
ガソリン車ユーザー バランス重視の方
D 以下抵抗が大きい。
燃費への影響(悪化)が出る可能性あり。
雪道性能特化を求める方 近距離移動メインの方

タイヤの世界では「設計の新しいものが良い」というのが定説です。

発売時期が新しいほど、最新のナノレベルでの素材配合技術などが投入されており、燃費性能が高い傾向にあります。

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自分が選ぶなら、やはり基本設計が新しいモデルを選びますね。

オールシーズンタイヤは燃費悪いのか徹底比較

ここでは、実際に数値としてどの程度の差が出るのか、シミュレーションや一般的なデータを基に比較してみたいと思います。

なんとなくの感覚ではなく、数字で見ることが大切です。

夏タイヤと実燃費を比較検証

一般的な純正サマータイヤ(新車装着タイヤ)から、高性能なオールシーズンタイヤに履き替えた場合、実燃費の悪化は「ほぼ誤差の範囲」か、悪くても数パーセント程度に収まることが多いです。

例えば、リッター20km走る車で燃費が3%悪化した場合を計算してみましょう。

燃費3%悪化のシミュレーション

  • 変更前(夏タイヤ): 20.0 km/L
  • 変更後(オールシーズン): 19.4 km/L
  • 影響: ガソリン満タン(40L)で走れる距離が約24km減少

これを「許容範囲」と捉えるか、「大きな損失」と捉えるかは人それぞれですが、個人的には気象条件やエアコンの使用状況、乗車人数の変化による燃費変動の方が大きいレベルだと感じます。

ソウタ

元々履いていたタイヤが「超低燃費タイヤ(転がり抵抗AAAなど)」だった場合は、10%近く燃費が落ちたと感じることもあるかもしれません。

スタッドレスとの燃費差を解説

ここは非常に重要なポイントですが、スタッドレスタイヤと比較すれば、オールシーズンタイヤの方が圧倒的に燃費が良い傾向にあります。

タイヤの種類ゴムの硬さ転がり抵抗燃費への影響
スタッドレス非常に柔らかい大きい悪い
(冬場は落ちる)
オールシーズン適度な硬さ小さい良い
(夏タイヤに近い)

スタッドレスタイヤは、氷の上で滑らないように非常に柔らかいゴムを使用しており、溝も深いため、どうしても転がり抵抗が大きくなります。

「夏はサマータイヤ、冬はスタッドレス」という運用をしている人は、冬場の燃費悪化を毎年経験しているはずです。

オールシーズンタイヤなら、冬場でもサマータイヤに近いしっかりとした剛性感で走れるため、年間を通じたトータル燃費で見れば、スタッドレス併用時よりも良い結果になることも珍しくありません。

ハイブリッド車での燃費の変化

プリウスやアクア、ノートe-POWERなどのハイブリッド車、あるいは電気自動車(EV)に乗っている方は、燃費(電費)の変化に特に敏感ですよね。

ハイブリッド車はエンジン音が静かで、モーター走行の割合も多いため、タイヤの転がり抵抗が燃費数値にダイレクトに反映されやすいという特性があります。

ここに安価で性能の低いオールシーズンタイヤを履いてしまうと、燃費計の数値が目に見えて下がり、ガッカリすることになりかねません。

EV・HVユーザーへのアドバイス

ハイブリッド車やEVユーザーこそ、前述した「転がり抵抗グレード」が高いプレミアムブランドのタイヤを選ぶべきです。

初期費用をケチって安いタイヤを選ぶと、ランニングコストで損をする可能性が高いです。

高速道路走行時の燃費と安定性

旅行や帰省で高速道路をよく利用する人にとって、燃費はもちろん、直進安定性も気になるところです。

高速巡航時は、タイヤの「転がり抵抗」に加えて、「空気抵抗」の影響も大きくなります。

オールシーズンタイヤの多くは、V字型の特殊なトレッドパターンを採用していますが、最近のモデルは空力特性も考慮されており、燃費への悪影響は最小限です。

欧州生まれのオールシーズンタイヤ(ミシュランやコンチネンタルなど)には、以下のメリットがあります。

  • 剛性が高い: タイヤ全体ががっちりしており、高速でもフラつかない。
  • 修正舵が減る: 無駄なハンドル操作が減り、抵抗が減って燃費悪化を防ぐ。
  • 疲れにくい: 直進安定性が高いため、長距離運転が楽になる。

おすすめメーカーの燃費性能

燃費を特に気にする方におすすめのタイヤを、個人的な視点で2つ挙げておきます。

グッドイヤー Vector 4Seasons Gen-3(ベクター フォーシーズンズ ジェンスリー)

一部サイズで転がり抵抗性能「A」評価を獲得しており、燃費性能は間違いなくトップクラスです。

雪道性能とドライ性能のバランスの良さが光ります。

ミシュラン CrossClimate 2(クロスクライメート ツー)

あくまで「雪も走れる夏タイヤ」というコンセプトで作られており、ドライ路面での走り心地や、圧倒的な寿命の長さはピカイチです。

高速道路をよく使う方におすすめです。

これらのプレミアムブランドを選んでおけば、少なくとも「燃費が悪すぎて後悔する」ということはまずないでしょう。

オールシーズンタイヤの燃費以外のデメリットと寿命の真実

燃費については「選び方次第で大きな問題はない」ことが分かりましたが、それ以外にデメリットはないのでしょうか。ユーザーレビューでよく見かけるポイントを深掘りします。

ロードノイズはうるさいのか

これは正直に言いますが、静粛性を売りにしているプレミアムサマータイヤ(ブリヂストンのレグノなど)と比較すると、ロードノイズは大きくなる傾向があります。

ノイズの特徴

V字型パターンのタイヤは、路面を叩く際に独特の「シャー」あるいは「ゴー」というパターンノイズが発生しやすいです。

特に時速40km〜60kmくらいの街乗り速度域で少し耳につく場合があります。

ただ、「うるさくて車内で会話ができない」というレベルではありません。あくまで「ものすごく静かなタイヤと比べれば音がする」という程度です。

最近のモデルはノイズ対策も進んでおり、「オーディオの音量を1目盛り上げるかどうか」くらいの差だと感じています。

オールシーズンタイヤの静粛性については、オールシーズンタイヤはうるさいの?後悔する前に知っておくべき静粛性の真実と選び方という記事で解説しています。

オールシーズンタイヤはうるさい?後悔する前に知っておくべき静粛性の真実と選び方「オールシーズンタイヤはうるさい」という口コミを見て購入を迷っていませんか?実は最新モデルの静粛性は劇的に進化しており、夏タイヤと比較しても遜色ないレベルです。この記事では騒音の原因やメーカー別の比較、後悔しない選び方を徹底解説します。オールシーズンタイヤがうるさいという不安を解消し、快適なカーライフを実現しましょう。...

寿命や減りが早いという誤解

「オールシーズンタイヤは中途半端だから、どっちつかずですぐに減ってしまうのでは?」という声も聞きますが、これは大きな誤解です。

特にミシュランの「クロスクライメート2」などは、業界内でも驚くほど耐摩耗性(寿命)が高いことで有名です。

トレッドウェア(摩耗寿命を示す数値)などのデータを見ても、一般的なサマータイヤ以上のロングライフ性能を誇る製品もあります。

  • スタッドレス: 夏場のアスファルト走行ですぐに減ってしまう。
  • オールシーズン: 夏場の走行でも減りにくく、3〜4年は十分に持つ。

頻繁に買い替える必要がないので、この点も長い目で見れば非常に経済的と言えます。

雪道や凍結路面での走行限界

ここで命に関わる一番大切な注意点をお伝えします。

オールシーズンタイヤは、凍結した路面(アイスバーン)は極めて苦手です。

路面状況走行可否備考
ドライ(乾燥路)夏タイヤ同等以上の性能
ウェット(雨)排水性が高く得意
圧雪路(雪道)踏み固められた雪は走れる
シャーベットビシャビシャの雪も得意
アイスバーン(氷)× 〜 △滑ります。非常に危険。

交差点の手前などでピカピカに磨かれたカチカチの氷の上では、スタッドレスタイヤほどのグリップ力は物理的に発揮できません。

  • 北海道や東北の豪雪地帯
  • 坂道が多い
  • 朝晩の路面凍結が日常茶飯事

といった地域に住んでいる方には、正直おすすめできません。

買ってから後悔しないポイント

「こんなはずじゃなかった」と後悔しないためには、自分の住環境と車の使い方を冷静に見直すことが大切です。

購入前のチェックリスト

  • 住んでいる場所は、ほとんど雪が降らない(降ってもすぐ溶ける)地域か?
  • 真冬にスキー場などの豪雪地帯へ「頻繁に」行かないか?
  • 究極の静粛性や、スポーツカーのようなグリップ力を求めていないか?

「年に1〜2回の雪のためにスタッドレスに履き替えるのが面倒」「燃費もそこそこで、とにかく手間を減らしたい」というニーズには、オールシーズンタイヤは最高の選択肢になります。

オールシーズンタイヤの燃費悪化をカバーする経済的メリット

仮に、ほんの少し燃費が悪くなったとしても、それを補って余りある経済的なメリットがオールシーズンタイヤにはあります。

毎年のタイヤ交換工賃の節約

夏タイヤとスタッドレスタイヤを使い分ける場合、春と冬の年2回、必ずタイヤ交換(脱着)作業が必要になります。

カー用品店やガソリンスタンドにお願いすると、それなりの費用と時間がかかります。

項目2セット運用
(年間コスト)
オールシーズン
(年間コスト)
交換工賃
(年2回)
約8,000円 〜 16,000円0円
待ち時間予約して作業完了まで数時間0時間
予約の手間年2回必要不要

オールシーズンタイヤなら、一度履いてしまえば次の買い替えまで履き替えは不要です。

年間で約1万円前後の工賃が確実に浮く計算になります。5年乗れば5万円です。これは大きいですよね。

タイヤ保管料と手間の削減効果

意外とバカにならないのが、外したタイヤの保管料です。

マンション住まいなどで置き場所がない場合、カー用品店やディーラーのタイヤ預かりサービス(タイヤクロークなど)を利用することになりますが、これが年間で15,000円〜25,000円ほどかかります。

自宅で保管する場合でも、以下のストレスが発生します。

  • 重いタイヤをベランダや物置まで運ぶ重労働(腰を痛めるリスクも)
  • 貴重な保管スペースがタイヤに占領される
  • 屋外保管による紫外線や雨でのタイヤ劣化

オールシーズンタイヤなら、これらの「見えないコスト」と「重労働」から完全に解放されます。

燃費低下分と維持費のバランス

では、具体的な収支をシミュレーションしてみましょう。

仮に燃費が悪化して、ガソリン代が年間3,000円〜5,000円増えたと厳しめに見積もっても、結果はどうなるでしょうか。

年間収支シミュレーション

項目金額の目安
燃費悪化による出費+ 5,000円(出費増)
タイヤ交換工賃の削減– 10,000円(節約)
タイヤ保管料の削減– 20,000円(節約)
合計収支年間 25,000円のプラス

結果として、トータルでは年間25,000円近く、お財布にはプラスになります。「燃費」という単独の数字だけ見るとマイナスに見えるかもしれませんが、「車の維持費全体」という広い視野で見れば、オールシーズンタイヤは非常に経済的で賢い選択肢なんです。

価格差を含めたトータルコスト

最後に、タイヤ本体の購入価格も考慮しましょう。

高性能なオールシーズンタイヤは、一般的なサマータイヤよりは少し高価な傾向があります。

しかし、高性能なスタッドレスタイヤ(ブリザックなど)よりは安いことが多いです。

何より決定的なのは、「夏用ホイールセット」と「冬用ホイールセット」の2セットを用意する必要がないことです。

トータルコスト(TCO)で考えれば、非降雪地域のユーザーにとってこれほどコストパフォーマンスの良い選択肢はありません。

ソウタ

ホイール代がかからないため、初期投資も圧倒的に安く済みます。

オールシーズンタイヤの燃費比較と悪い評判の結論

ここまで、オールシーズンタイヤの燃費や経済性、そしてデメリットについて詳しく解説してきました。

結論として、「オールシーズンタイヤは燃費が悪い」というのは過去の話、あるいは製品選びを間違えた場合のケースです。

信頼できるメーカーの最新モデルを選べば、

  • 燃費の悪化は最小限(あるいは無し)に抑えられる
  • 毎年の面倒なタイヤ交換予約が不要
  • 重いタイヤを運ぶ重労働がいらない
  • 高額な保管コストをゼロにできる

といったメリットができます。

浮いた時間とお金で、家族と美味しいものを食べに行ったり、愛車のメンテナンスに回したりする方が、よほど有意義で豊かなカーライフではないでしょうか。

自分のライフスタイルに合っていると感じたら、ぜひオールシーズンタイヤを検討してみてください。きっと「変えてよかった」と思えるはずです。

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